今や地球がすっかり狭くなってしまって、地球環境に影響を及ぼす人間の活動は、ガラス細工にふれるときのような慎重さと細心の注意が要求されるようになりました。

 地球の大きさには限りがあるのですから、どこかに影響が出ることは当たり前と言えば当たり前のことだったのですが、フロンガスによるオゾン層の破壊、炭酸ガスの増加による地球温暖化、化石燃料の大量消費による酸性雨等が地球環境問題として提起されるまでは、地球は無限大のように考えられてきたのでした。

 「森は海の恋人」のキャッチフレーズで、山に植樹をはじめた漁師たちの話は、今やすっかり有名になってしまいましたが、この活躍に感動し、児童にこのことを伝えたいと執筆されたのが本書です。著者の及川和男氏は一関市に在住しています。

 物語は、室根村に住む小学5年の北沢森人君が、カプセルにおさめた「森を大事にする心を持って欲しい」というメッセージを大川に流すところから始まります。やがて山人と海人との交流がはじまるのですが、詳しくは本書を読んでみて下さい。森と海と川と、そしてそこに住む生物との関係や、人間の自然との接し方など大人が読んでも多くのことを学ぶことができます。

 著者は、あとがきで「自分の命を大事にするのと同じように、自然を大事にしなくてはなりません。空や海や川や森は、だまっていますが、ほんとうはわたしたちに、たくさんのことを呼びかけているのです。」と述べています。この自然のこえをどれほど聞きとることができるのか。今私達に問われていることのすべてが、この一語に集約されているような気がします。

 一方、経済合理性の追求とそれに伴う社会・経済の急激な変化は、自然が発信するこえをますます聞きとりにくいものとする状況を生んではいないかと心配したりもしています。
(一関市 岩井憲一)


「森は呼んでいる」
著 者   及川和男
発行所   岩崎書店