1995年9月、稲作初年度の秋。反収450kg!!


 子孫のために美田を創ろう
 西郷隆盛は「子孫のために美田を買わず」といって、田小作料に頼る「地主生活」を否定した。
 私たちは耕作農民である。子孫のために美田を創るのは怠け者のためではなく、石油、食料不足の時でもコメを多くっくれる水田にしておくためです。胸を張って美田を創りましょう。
 日本中が不景気だから減税! コメ余りだから転作! などと騒ぐが、忍び寄る地球温暖化、異常気象に目をつぶりゼイタク三味の浪費生活にひたり、花見酒をもっと出せ! といっているようなものである 農協事業も役職員の給料稼ぎで組合員農家にしがみつき、基本問題を先送りしていないだろうか。農協の原点は食物を生産して消費者に提供するシステム、健康と安心サービスの代価で経営を維持するのであるから、基盤は美田を創ることである。
 ポロイ儲け話=投資=不良債権での四苦八苦は因果応報といさぎよく責任をとり、早く農業協同組合運動の初心にかえりたいと思っている。

 沙漢緑化はオモシロイ
 なぜか日本農協はアジアとの共生をいいはじめた。安い農産物輸出攻撃へのメクラマシ説もあるが、このままでは2010年頃から始まる食料不足=この世の地獄、を避ける良いスローガンではある。
 しかし、いくら数字を並べ、声音大きくしても「オレが教える、アナタ実行しなさい」では原稿、講演料稼ぎか説教師の虚業でしかない。
 私は衣川農協参事の頃(30年前)からケミカル農法の危険性を感じ、有機農法を主張する福岡正信さんの自然農法現地を訪ねたこともあった。当時の農協界は商売のジャマをする奴、という風潮だったが、近頃は有機栽培=高く売れるから--みたいで哲学のない商売人根性? のようにも思える。
 私にとって沙漠植林は有横農法の延長でもある。公職のかたわら沙漠現地踏査や資料を集め、九年前にNGO協会をつくり中国内蒙古で植林現地活動を始めた。 (左写真  植林協力隊の作業)
 不毛の地、沙漠を緑化し森林農業をつくることで持続的産業を興し、ヒトと他生物との共生、生命輪廻の世界をつくつてみたい、と考えている。
 始めの一年から四年は植えても80%が枯れ、残っても家畜に食べられ、大きくなるとたき木になる例が多かった。五年前から囲柵や開溝植林、実証展示と現地民の作業体験によって技術と教育の成果が見え、二年前からは現地民の自主的植林が急増している。
 最近、環境問題は流行になったが、経験によると、学者=論文のため、政治家=リップサービス、役人=公金の私物意識、市民運動家=費用対効果を考えない計算オンチ、が多い。なぜテレビ時代のパフォーマンスや売名に夢中になるのか。フシギである。
 地に走獣なく、天に飛鳥なき流砂千里の地が緑に覆われて、小動物がすみ、ヒトが平安にくらせる緑野創造に関わる楽しみはたとえようがない。

 沙漠は広大、資金は有限
 今、最も力を入れているのは内蒙のホルチン沙漠である。ホルチン沙漠は砂漠(沙漠には岩漠、礫漠、土漠、砂漠、塩漠の五種類がある)で500万ヘクタールだが、内蒙古で私のみた植林可能地は5000万ヘクタールはある。
 ホルチン沙漠では森林農場方式(囲柵で家畜食害防止、防風林帯で流沙防止、節水技術で農作物栽培)をヘクタール当たり三〜五万円で現地民たちはやるようになり、コメも自給しはじめた。
 100万ヘクタールの沙漠は300〜500億円で緑の大地に生まれ変わるのに金が足りない。地球温暖化対策でCO2削減値が国際売買になれば、沙漠植林事業は最も有望である。
 ODA(途上国支援)は大義名分は立派でも結果は特権階級の金儲けになる例が多いらしいが、単純明快な費用対効果(庶民階級の生活向上)で計算したら、沙漠植林にまさるものはない。ODA予算一兆円の3〜5%で毎年100万ヘクタールが緑化され、20年間で2000万ヘクタールの緑野と持続的産業が生まれれば、後世のヒト、生さものたちへの歴史的遺産になる。
 農協も郵便局の国際ボランティア貯金に負けないで、貯金利息の20%を募金、レインボー基金にしてはどうか。アジアとの共生は都市や観光地、特権層との共生ではなく、普通農民との共生に的をしぼりたい。
 大蔵省も徴税権独占などに伴う不祥事の罪はろぼしに、NGOへの寄付金は所得から控除する徴税制民主化を思いきって実施すべきだ。納税者が税金の使途を選択、指名できる社会こそ日本社会活性化のポイントであり、新しい歴史の礎となる。

  
禁猟の看板(左)  オンドルのある民家(右)

 口先だけの環境評論=虚業家の多い中で、23万円の参加費を出して毎年植林に汗を流している人、毎日百円貯金してカンパを毎年続けている人、毎年1〜200万円を寄付している人もいる。この輪を広げることこそ、誰もが参加できる地球環境保全運動であり、浪費生活の見直し、価値観転換の充実人生への道だ--と思っている。
 農協も政治依存、護送船団方式に安住する惰性をきって協同組合の原点にかえりたい。

沙漠ボランティア協会  菊地 豊  
岩手県胆沢郡衣川村大坂51
fax 0197-52-3923


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